北アルプス縦走7日間──笠ヶ岳から雲ノ平、槍ヶ岳、焼岳へ歩き切った記録

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笠新道から始まった久々のテント泊縦走

7月下旬、長年の山仲間とともに北アルプス大縦走へ出かけた。期間は7日間。久しぶりのテント泊縦走ということで、出発前から装備や食料の再点検を繰り返し、トレーニングも重ねて万全の態勢で挑んだ。その成果か、行程は長かったものの大きなトラブルなく歩き通すことができた。夜行バスで早朝に到着した相棒と合流し、最初の難関である笠新道へと足を踏み入れる。重いザックが肩にのしかかるが、ゆっくりと呼吸を整えながらリズムよく高度を上げていく。やがて稜線に出ると、雲間から笠ヶ岳の端正な姿が現れては消え、まるでこれからの旅を歓迎してくれているかのようだった。

初日は無理をせず、笠ヶ岳山頂は翌日に回すことにしてテント場に到着。張り終えたテントに腰を下ろすと、標高の高さと静寂が身体に染み込むようだった。明日に備えて早めに横になりながら、これから続く長大な稜線の旅に思いを馳せた。

朝焼けに染まる笠ヶ岳と雷鳥の出迎え

翌朝、テントから顔を出すと空は淡い橙色に染まり、北アルプス独特の澄んだ空気が肌を冷やした。

日の出を眺めてから笠ヶ岳山頂を往復し、再びテント場に戻って撤収。ここからはいよいよ縦走らしい稜線歩きが始まる。鏡平方面からの道と合流すると、広がるお花畑の中で雷鳥が姿を見せてくれた。ふいに足元に現れ、こちらを気にすることもなく岩の間を歩く様子に、疲れの中でも思わず笑みがこぼれた。

双六小屋を遠くに望みながら歩を進めると、その先には鷲羽岳の雄姿が堂々と広がる。双六岳は今回はパスし、三俣蓮華岳へ。

長い下りの後に黒部五郎小屋が姿を現すと、今日の行程もそろそろ終盤だと実感する。テント場では道中で出会ったハイカーが訪ねてきて、夕暮れの中で山談義に花が咲いた。

黒部五郎岳から薬師へ、雄大なカールと稜線を歩く

三日目は黒部五郎岳へと向かう。カールの中をゆっくりと高度を上げていくと、振り返るたびに広がる景色が変わり、まるで自然の劇場に足を踏み入れたかのようだった。山頂に立つと、北ノ俣岳へ延びる稜線が力強く続いている。その道を進みながら、次第に大きく迫ってくる薬師岳の存在感に圧倒される。太郎平小屋で一息つき、薬師峠へと到着すると、長い一日の疲れがじんわりと足に溜まっていた。

未知の大東新道と高天原の名湯へ

四日目の目的地は高天原。薬師沢へと下り、さらに大東新道へ足を踏み入れる。ここは今回が初めてのルートで、沢沿いのゴーロ帯、支流を渡り続ける区間など変化に富んだコースが続く。相棒は以前この道を下りで歩いたというが、登りに使うと印象が大きく異なるようで、互いに慎重に足を運んでいった。

高天原峠にたどり着いた頃には安堵が全身を包み、そこから一気に下って高天原の湿地帯へ。山荘に着くと空模様が怪しくなり、台風の影響か小雨が降り出した。テント泊禁止のため山荘に宿泊し、荷を下ろしてすぐ高天原温泉へ向かう。囲いのある湯船と、もう一つの露天風呂。特に露天風呂では、白い湯気と山の気配が溶け合う世界の中で、約一時間ただ静かに身を沈めた。山旅の途中で出会う温泉はいつも格別だが、ここはその中でも忘れがたい場所となった。

ガスの雲ノ平、そして双六へ戻る

翌朝は夜通し降った雨が屋根を叩き続け、台風の影響を肌で感じる天気だった。高天原峠を越えて雲ノ平へ進むが、展望は完全にガスに包まれ、ほんの数メートル先もぼんやりとしか見えない。前から憧れていた雲ノ平だが、この日はその静けさと白い霧が印象に刻まれた。祖父岳への分岐は今回は見送ることにし、再訪を胸に誓いながら進む。やがて三俣山荘を経て双六小屋へ戻り、この日の行程を終えた。

西鎌尾根から槍ヶ岳、そして徳沢へ

六日目は西鎌尾根を槍ヶ岳へ向かう。天気は相変わらず不安定で、一時は激しい雨に打たれながらの前進となった。槍ヶ岳山荘に到着後、荷を整えて山頂へ。展望は期待できなかったが、ガスの中で静まり返った頂に二人だけで立つ瞬間は、賑やかな夏山ではなかなか味わえない特別な時間だった。

予定では南岳方面へ進み大キレットへ挑むはずだったが、天候と体調を踏まえて計画を変更。槍沢を下り横尾へ、さらに徳沢まで歩いてテントを張る。夕方には周囲に多くのテントが並び、稜線から離れた静かな森の中で過ごす夜は、縦走の終盤にぴったりの安らぎだった。

最終日は焼岳を越えて新穂高へ下山

最終日は上高地を抜けて焼岳へ登り、噴気の立つ荒々しい火山の姿を眺めながら山頂に到達した。そこから中尾温泉側へ下っていくとやがて登山口に降り立ち、さらに長い舗装路歩きを経てようやく新穂高の駐車場へ帰還。七日間の旅が静かに幕を閉じた。

今回の縦走では、笠ヶ岳から槍ヶ岳、雲ノ平、焼岳と北アルプスの多様な景色を歩き尽くし、天候に翻弄されながらも相棒とともに乗り越えた時間は、何年経っても色褪せないだろう。特に雲ノ平はガスでほとんど展望が得られなかったため、近いうちに再訪し、改めてその広大な景観をこの目で確かめたいと心に決めている。

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